フェイキックIOL

ICL(アイシーエル)

ICLICL(アイシーエル)は、アメリカのStaarSurgical社製で、後房型フェイキックIOLの1種です。フェイキックIOLとは、目の中に挿入して視力を矯正するレンズの総称で、”眼内コンタクトレンズ” や ”有水晶体眼内レンズ” とも呼ばれています。ICLは目の中の後房(虹彩と水晶体の間)という場所に挿入します。異物感もなく、裸眼と同じ感覚で視力の矯正ができます。コンタクトレンズのように汚れがついたり劣化することがないので、お手入れや交換の必要はありません。もし万が一、何か不具合が出た場合には、摘出して元の状態に戻すことも可能です。

ICLはコラーゲンとハイドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の共重合体という柔らかい素材でできています。小さく丸めてわずか3mmほどの切開創から目の中に挿入できるため、切開した部分は縫合の必要がなく、視力の回復が早いのが特徴です。

現在までに世界中で200万件以上の手術実績があり、1997年にCEマーク(欧州安全規格)取得、2005年にアメリカのFDA、2010年2月に日本の厚生労働省が認可しています(乱視用は2011年に認可)。みなとみらいアイクリニックでは2007年11月よりICL手術を導入しており、15年以上の実績があります。度数が−14.0Dまでの場合は、光学部径が従来のものより大きくなったEVO+モデルを使用しています。

角膜が薄い、強度近視、軽度の円錐角膜などの理由により、レーシックが受けられない方でも、ICLでは適応になるケースも多くあります。また、ICLは角膜を削らないため、中等度以上の近視がある場合は、レーシックよりも見え方の質が高くなります。レーシックが適応と診断された方でも、角膜を削る量が多くなってしまうことが予想される場合には、ICLをおすすめしています。

ICLの対象年齢は21歳以上です。年齢の上限はありませんが、白内障を発症している方は対象外になります。また、前房深度(角膜から水晶体までの距離)が浅い方は、ICLを挿入するスペースを確保できないため、手術が不適応になる場合もあります。

目の手術は怖いと感じている方へ

笑気ガス麻酔みなとみらいアイクリニックでは、手術時に点眼麻酔の他に低濃度笑気ガス麻酔を併用しています。低濃度笑気ガス麻酔は、歯科治療や無痛分娩などにも用いられている、軽い鎮静・鎮痛・睡眠作用がある安全性の高い麻酔です。手術中にマスクから笑気ガス麻酔を吸入すると数分で心拍数や血圧・呼吸など全身状態が安定し、ぼんやりと体がふわふわするようなリラックスした状態で手術を受けていただくことができます。低濃度笑気ガス麻酔は無料でご利用いただけます。
笑気ガスは体内で分解されず、吸入をやめるとすぐにそのまま排出されるので、数分で麻酔の影響はなくなります。呼吸器系、肝臓、腎臓、代謝系などに負担がかからないものですが、妊娠初期の方、鼻閉塞のある方、過呼吸発作の既往のある方、気胸の方、ビタミンB12欠乏症の方などには適していません。詳しくは医師にご相談ください。非常にまれに、吐き気、四肢の脱力などの症状を感じる場合があります。

弱度から強度の近視・乱視に対応しています

ICLは国内で承認されている度数の他に、国内未承認の軽度の近視・乱視、強度の乱視の度数も制作しています。これらの国内未承認の度数は、アメリカのFDAで承認され、ヨーロッパのCEマークを取得しています。みなとみらいアイクリニックでは国内未承認の度数のICLも輸入して使用可能です。icl制作範囲

乱視の矯正効果を高めるために

乱視用の眼内レンズは目の中で角度が1度回旋するごとに乱視矯正効果が3.3%下がると言われており、正しい位置にICLを固定することはとても重要なため、みなとみらいアイクリニックではALCON社製VERIONイメージガイドシステムを導入しています。
VERIONイメージガイドシステムには術前検査で測定した角膜屈折値や強結膜血管、虹彩、輪部の情報を元にしたトラッキング機能が備わっており、手術中に目が動いた場合でも1度単位の正確さで「乱視用ICLを固定すべき位置」を医師が使用する顕微鏡下に表示します。このガイド位置を確認しながら乱視用ICLの固定をするので、より正確な乱視矯正が可能になっています。verion

執刀する医師は、15年以上のICL手術の経験があります

verionICL手術は国内で安全かつ安心に普及していくような取り組みとして、認定医(ラインセンス)制度が導入されています。眼科専門医であり、屈折矯正手術のガイドラインの受講、認定手術を経て認定医資格(ライセンス)を付与された眼科医のみが手術を行うことができます。認定医資格(ライセンス)は、現在日本国内で唯一厚生労働省から認可を受けているICLレンズを取り扱うSTAAR Surgical社が付与するものです。
みなとみらいアイクリニックでICLの手術を担当する荒井宏幸医師は、インストラクター(指導医)のライセンスを取得しており、2007年11月から2024年8月末までの間に1073件の手術を執刀しています。

ICLの手術方法

手術時間は、両眼で約30分です。

手術方法1

手術前に瞳孔を大きく開く目薬を点眼します。

手術方法2

局所麻酔後、角膜を約3mm切開します。

手術方法3

切開した部分からICLを挿入します。

手術方法4

虹彩の後ろ(後房)にICLを留置します。

手術方法5

瞳孔を小さく戻す目薬を点眼して手術終了です。30分休憩後、眼圧測定・診察をします。眼圧が高い場合は、さらに休憩をして再度測定・診察、を何度か繰り返す場合があります。

ICLのメリットとデメリット

メリット

  • 強度近視や軽度の円錐角膜等の理由でレーシックが不適応の方でも、裸眼で生活できるようになる。
  • レーシックのように角膜を削らないため、目安として中等度以上の近視の方はレーシックよりも見え方の質が高くなる。
  • 万が一、ICLが目に合わなかった場合は、ICLを取り外して手術前の状態に戻すことができる。

デメリット

  • ICLは保険適用外のため、手術費用は全額自己負担になる。
  • 目の中の房水の流れを妨げないようにICLの中心に穴が空いているため、手術直後から半年程度はそれが光の輪として視界に見えることがある。(やがて慣れて見えなくなることがほとんどです)
  • 手術後の目の状態によっては、ICLの位置の修正やサイズを交換する場合がある。
  • 将来、白内障や網膜剥離など、ICLの挿入位置より後ろの部位の手術を受けることになった場合には、ICLを取り外す必要がある。