ICRS(角膜内リング)は、もともと-3.00D前後までの軽度近視を治療するために使われていましたが、その技術を応用することで円錐角膜の治療にも役立つことがわかり、現在は主に円錐角膜の治療方法として使われています。
半円弧状の2つのリングを角膜内に挿入すると、角膜の形状を矯正する骨組みとして働き、角膜の突出を軽減して不正乱視や非対称性を改善させる効果か゛あります。
手術後は角膜形状がある程度整えられるので、ハードコンタクトレンズが装用できるようになったり、または装用時間が伸びたり、メガネの矯正視力が上がる効果が期待できます。ただし、角膜形状は手術後3~6ヵ月かけて徐々に変化・安定するため、それにともなって少しずつ改善していきます。レーシックのように手術直後から視力が大幅に改善するわけではなく、もともとある程度以上の近視や乱視がある方は、手術後の裸眼視力自体はあまり改善しません。
みなとみらいアイクリニックでは、Intacs、IntacsSK、フェラーラリングと3種類のデザインやサイズが異なるICRSを導入し、より円錐角膜の程度に合わせた治療を行なっています。Intacsは円錐角膜治療用として2003年にすべてのEU加盟国の基準を満たす商品に付けられるCEマークを取得、2004年にFDA:米国食品医薬品局(日本の厚生労働省に該当) の認可を得ています。IntacsSKは2007年にCEマークを取得、フェラーラリングもCEマークを取得しています。
円錐角膜の程度は個人差が大きいため、ICRS手術後の効果もその方によって異なりますが、大きな目安としては下記のようになります。
手術時間は片眼で約15分です。
ベッドに横たわり、麻酔薬を点眼します。
イントラレースレーザーで、角膜の中にトンネルを作成します。レーザー照射時間は約10秒です。
リングの入り口を作るために、レーザーでトンネルを1ヶ所切開します。
切開面よりリングをトンネル内に挿入します。
保護用ソフトコンタクトレンズをのせたあと、10分ほど休憩して終了です。
ICRSの手術後に角膜の形状が安定した後も、ほとんどの方が近視や乱視があるためにハードコンタクトレンズやメガネが必要になりますが、フェイキックIOLという眼内レンズの手術を追加することで、目安としてメガネでの矯正視力ぐらいまで裸眼で見えるようになります。