老眼治療

多焦点眼内レンズ

”多焦点眼内レンズ”多焦点眼内レンズは、光の性質(屈折や回折)を利用して、遠くと近くの2ヶ所、または遠く・中間・近くの3ヶ所に焦点が合うように設計されています。その他、EDOF(Extended Depth of Focus) と呼ばれる最新の多焦点眼内レンズは、焦点深度を深くするという新しい構造で、従来のレンズよりさらに自然な見え方になっています。
近視・遠視・乱視と老眼が同時に矯正可能で、近くの見え方の目安は、新聞やメニュー、値札ほどの大きさの文字が、裸眼で読めるようになります。それ以上小さい対象物の場合は、メガネが必要になります。
眼内レンズは経年による劣化がない材質でできており、交換やメンテナンスの必要はありません。

現在取り扱っている7種類のレンズの中から、患者様の環境やご希望の見え方をお伺いした上で最適なレンズを選択し、手術を行います。手術方法は白内障の手術方法と同じで、眼の中にある水晶体を取り除き、代わりにこの多焦点眼内レンズを挿入します。手術後は眼帯を数日間装用するので、1週間ほど間隔をあけて片眼ずつ手術を行います。

手術時間は、片眼で約30分です。当日の所要時間は、手術前の準備、手術後の休憩時間を含めると、約2時間半かかります。手術後に眼帯をつけるため、両眼とも手術を受けられる場合でも日を分けて片眼ずつ手術を行います。もう片眼の手術は最短で約1週間後になります。

手術方法
手術方法1

手術前に、抗生物質と瞳孔を大きく開く目薬を点眼します。点眼終了後、レーザー用のベッドに横たわります。

手術方法2

局所麻酔後、眼球表面にサクションリング(目を固定する器具)を取り付けます。


手術方法3

フェムトセカンドレーザーで、水晶体を覆っている嚢(のう)という膜の前面(前嚢)の切開、水晶体の分割、角膜の切開を行います。

手術方法4

手術用のベッドに移動します。レーザーで分割した水晶体を全て吸引します。



手術方法5

眼内レンズを目の中に挿入し、嚢(後嚢)の中へ留置します。

手術方法6

最後に大きな眼帯を付けて終了です。回復室で10分ほど休憩後、帰宅可能になります。

当院で使用するフェムトセカンドレーザーは、アメリカのAMO社のカタリスです。目に優しい接触面、患者様に合わせたレーザー照射設定を作成可能にする精密な断層解析、誤差がほとんど出ない正確なレーザー照射などが特徴です。前嚢を真円状に切開できるので、眼内レンズの位置ズレが発生しにくくなるメリットがあります。カタリスカタリス2

フェムトセカンドレーザーによる乱視矯正

カタリスには、レーザー照射の際に角膜内を部分的に切開することで、軽度の乱視の矯正が可能なプログラムが付属しています。乱視用レンズの適応にならない場合でも、従来より視力の矯正が可能になりました。catalys_ak

多焦点眼内レンズのメリットとデメリット

メリット

  • 遠くも近くもある程度メガネなしで見える。

デメリット

  • 近くは30〜40cmの距離でものが見やすいように設計されており、それ以上近づけたり離して見ると見えにくい場合がある。
  • 薄暗い場所では、文字などが見えにくい場合がある。
  • 辞書などの小さい文字などを見る際には、老眼鏡が必要になる。
  • 視力が安定して自然な見え方になるまで3〜6ヶ月かかる場合がある。
  • レンズの種類によっては夜間や暗い場所で、街灯や車のライトがまぶしかったりにじんで見える(通常は日常生活に影響しない程度)。